初めてのコンピューターを手に入れた私は、天にも昇る気持ちで家に帰って来ました。
手にしているのは「コンピューター」ですよ「コンピューター！」
まだ何も出来ないくせに、気分だけはエンジニアでした。
早速、電源を入れてみると、何事も無く起ち上がり、五線譜が現れた記憶があります。
今時のPCの様に時間設定だ、アカウントだ、ネットワークだといったお決まりの設定は一切ありません。そういった意味では、誰もが簡単に使えるものだったんですね。
デモ演奏があったかどうかも記憶にありません。
とにかく何か入力して自分が作った音楽というものを実感したかったのです。
どの曲にしようか迷いましたが、当時、凄く気に入っていた Tears For Fears の Rule The World を入力することにしました。というのも、キーボードマガジンだったか忘れましたが、手元に楽譜があったからです。
CX5Fのマニュアルを参考にしつつ、音符を一つ打ち込んでは、おお！ と感動したものです。何というか、パソコンのキーボードを触って、音符の長さを決め、音程を決めるという行為が、音楽をやっていることとかけ離れていて、とても新鮮でした。
と、浮かれていたものの、何かおかしいのです。
私は楽譜通りに入力しているのに、流れる音楽は全くリズムが違う。
コンピューターが壊れてるのかなと思いました。何度やっても、ダメなんです。Rule The Worldにはならないのです。
そう、お分かりの様に、Rule The Worldのイントロは3連符で始まります。
CX5Fでどのように3連を打ち込めばよいのか分からずに、16分にしたり8分にしたり、休符を入れたりしても、どうにもなりませんでした。
というよりも、3連は１拍で音３つと頭では分かっていても、本当の意味での理解をしていなかったから何度入力してもダメだったんだと。
この時初めて、3連符というものを意識し、音楽って難しいと思いました。
もちろんギターでは3連符なんて意識せずに普通に弾いていました。だってLong Live Rock'n RollのイントロとかChild in Timeの間奏とか曲の通りに弾いてれば3連になるんですから。
でも、音符で見る3連はギターのそれとは違っていました。
いや、3連は3連に間違いないのですが、如何に譜面を蔑ろにして音楽をやっていたか痛感させられました。
その後、譜面の読み方を一から勉強し、譜面も読めるようになりました。
と、なれば良かったのですが、CX5Fのマニュアルを見て3連符の入力の仕方が分かると、譜面のことなど、あっさりと忘れてしまったようで・・・
未だに、譜面は読めません。
